Nov 16, 2008

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 [東京 29日 ロイター] 好材料が乏しいなかでリスク選好が続いている。ギリシャ債務問題に新たな進展がみられたわけではなく、米マクロ指標もさえなかったが、原油価格下落のプラス効果期待が継続しているという。反転上昇の動きを強めてきた米金利の動きも注目されている。

 ただ米ISMや中国PMIなど「重量級指標」が悪化すればセンチメントは再び悲観に振れる可能性もある。6月末に中間決算をむかえる海外投資家が株式などにドレッシング的な買いを入れているとの観測も出ており、反動も警戒されるという。

  <米経済指標悪化でも株価は上昇>

 米市場は悪い経済指標に反応が鈍くなってきている。6月の米消費者信頼感指数は11月以来の低水準となり、雇用環境も悪化していることが示されたが、米ダウは145ドル高、米長期金利は上昇した。28日の海外市場で原油価格は上昇したものの、1バレル=93ドル前後と落ち着いていることから「財政政策や金融政策の打つ手が限られるなかでインフレ抑制や消費刺激の効果が期待される」(T&Dアセットマネジメント・チーフエコノミストの神谷尚志氏)という。

 米債市場では、2年債入札に続き5年債入札で最高落札利回りが市場の水準を大きく上回ったほか、 応札倍率は2.59倍と、5年債入札としては2010年6月以来の低水準となった。「安全資産への逃避」が一時的にせよ転機を迎えている可能性がある。米景気減速をある程度織り込んだことで、「ポジティブサイドに市場の関心が向かいやすくなっている」(外資系証券ストラテジスト)。

 ギリシャの債務問題に大きな進展がみられたわけではないが、海外市場では緊縮財政策可決の楽観的な見方が広がった。

 ただ、こうしたリスク選好は6月末にむけての思惑的な動きにすぎないとの見方もある。「6月中間決算のヘッジファンドや欧米ペンションファンドが株式にドレッシング買いを入れている可能性がある。国内でも株主総会が終わるまで持ち合い解消売りを控えている企業も少なくない」(準大手証券投資情報部)という。このため7月以降の反動も警戒されている。

 1日に6月中国PMI(物流購買連合会)や6月米ISM製造業景気指数など海外の「重量級指標」が悪化すれば市場センチメントは再び悲観に振れる可能性が大きい。「6月米ISM製造業指数の市場予想中央値は52だが、事前の関連指標をみると景況判断の分かれ目である50を割り込むおそれもある」(かざか証券・市場調査部長の田部井美彦氏)。

 日経平均は続伸し5月12日以来約7週間ぶりの高値水準を回復したが、後場は上値が重い展開。SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏は「ギリシャ問題については潜在的なリスクの先送りに過ぎないとの見方もある。今後の米経済指標が弱ければドル安の懸念も強くなる。9800円以上は戻り売りが無難だろう」と述べていた。

  <ギリシャ緊縮財政法案可決でもユーロの上値余地は乏しいか>

 外為市場では、ギリシャの緊縮財政法案が可決してもユーロの上値余地は乏しいとの声が多い。採決前に、ユーロがすでにレンジの上方領域まで上昇したことで、ここからのユーロの上値には限度があるという。「法案可決期待ですでにユーロが買われてしまったため、法案が可決した段階で出尽くし売りになるのではないか」(セントラル短資FX営業本部の武田明久氏)との声も出ている。

 海外市場では、温家宝首相が中国は欧州支援に前向きで必要に応じてソブリン債の買い入れが可能と述べたことや、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が「ECB理事会が非常に強い警戒モードにあることは周知の通りだ」と語ったことで7月欧州利上げへの期待が高まったことから、ギリシャの緊縮財政法案の採決を待たずにユーロは1.44ドル近くまで上昇していた。

 一方、クレディ・スイス証券チーフ通貨ストラテジスト、深谷幸司氏は、ユーロ/ドルのメーントレンドは債務問題ではなく金利差で決まると指摘する。「債務問題は味付けに過ぎない。米国金利が上昇していることを考えれば、ユーロ/ドルの上値には限度がある。ギリシャの採決は、1.45ドル付近のレンジ上限を超える材料ではない」。

 米10年債利回りは3%台を回復。一時逆転していた米独10年債利回りも、このところ再び米利回りが高くなっている。

 米2年債利回りの反転はとりわけ顕著で、0.3980%から28日は0.4811%に上昇した。深谷氏は「2年債利回りは、昨年秋と今年6月とでダブルボトムを形成して反転した。入札イベントによる一時的な上昇ではなく、米景気減速を織り込み終えたことによる本格的な反転だ」とみている。

 <円債市場は米金利上昇が継続するかに注目>

 円債市場は、米債市場の動きに敏感に反応し、国債先物は大幅反落で午前の取引を終えた。10年ゾーンなどに地方からの押し目買いが入り、一時下げ渋ったものの、その後、短期筋を中心に再び売りが加速。一時、前日比40銭安の141円30銭まで下落した。「141円28銭などトリガーがいくつかあり、売り圧力が強まった。海外勢からの手仕舞い売りが出やすい状況にある」(外資系証券)という。

 米債市場はこれまで、米景気減速懸念やギリシャ財政問題などで「リスク回避」が大きなテーマになっていたが、ここにきて巻き戻しの動きも出始めている。前日はギリシャ問題に対する楽観的な見方や5年債入札がさえなかったことから、指標10年債利回りは再び3%台に上昇。いまだレンジ内の動きとはいえ、その行方に神経をとがらす市場参加者も目立ってきた。

 みずほ証券マーケットエコノミスト、土山直樹氏は「日本のサプライチェーンの回復は米国のサプライチェーンの回復にも波及する公算が大きく、夏にかけて米株高/債券安の展開が生じやすい。日本もこれに引っ張られる形で、金利上昇局面に転じてもおかしくない」と指摘。その上で「米10年債利回りが明確に3%を上回ってくれば、日本の長期金利1.1%割れは厳しいという見方が強まってくるだろう」との見通しを示した。

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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